お客様の声
ひまりちゃんへ
今日は、地下アイドルのオーディションを受けてきました。
前の仕事をクビになってから、今度こそ普通にやり直したいと思っていました。
女装デリヘル嬢ではなく、可愛い服を着て、一人の女の子として「可愛い」と思ってもらいたい。
だから「新人地下アイドル募集」を見つけたとき、これなら変われるかもしれないと思ったんです。
白いブラウスに黒いジャンパースカートを着て、鏡の前で、
(今日はちゃんと普通にしよう)
そう思って家を出ました。
でも、普通だったのは最初だけでした。
面接では前職を「接客業」、退職理由を「自主退職」と誤魔化しました。
ところが撮影審査が始まり、黒、白、赤と水着を替えながら質問されていくうちに、少しずつ逃げられなくなっていきました。
女装デリヘル嬢だったこと。
禁止されていた本番行為が原因でクビになったこと。
さらに、童貞で包茎だという、ずっと隠していたコンプレックスまで。
恥ずかしくて仕方なかったです。
それなのに、審査が普通ではないと気づいてからも、私は帰りませんでした。
むしろ自分でも認めたくなかった部分まで見透かされていくことに、怖さとは別のドキドキを感じていました。
最後の赤い水着では、もう最初の私とは違っていました。
過去も、嘘も、恥ずかしい部分も知られた状態で写真を撮られ、それが今後使われるかもしれないと聞かされました。
嫌なら、ここで終わればよかったはずです。
なのに私は、
(本当に使われるのかな)
と少し期待していました。
そして渡された結果は、
地下アイドル――不合格。
でも、もう一枚。
最下層アイドル候補生・裏選考――合格。
普通のアイドルになりたくて来たのに、評価されたのは歌やダンスではなく、恥ずかしがる私、隠し事を暴かれていく私、それでも逃げなかった私でした。
《最下層アイドル候補生 登録誓約・管理規則》
そこに書かれていた私の記録は、
通常選考【不合格】
裏選考【合格】
虚偽申告【有】
登録階級【最下層】
でした。
迷った末、私はそこに「ユキ」と署名しました。
ひまりさんに言われた言葉が、今も頭から離れません。
「これはアイドルになれた証明ではなく、普通のアイドルにはなれなかった人を最下層に登録した証明です」
そして初回課題として、赤い水着を脱ぐことも許されませんでした。
その上から朝と同じ白いブラウスと黒いジャンパースカートを着て帰りました。
鏡に映った私は、朝とほとんど同じでした。
でも服の下には赤い水着。
バッグには「不合格」と「最下層合格」の二枚の通知書。
電車の中では誰にも分からないのに、私はずっとそれを意識していました。
帰宅して、服を脱いでもまだ終わりません。
赤い水着姿の写真を送って、ひまりさんから「解除」と届くまで、そのまま待ちました。
そして最後に届いたのは、
「次回は最初から指定衣装で来てください」
という一文でした。
朝は「今日はちゃんと普通にしよう」と思っていたのに。
普通の地下アイドルには落ちて、
普通よりもっと下には受かってしまいました。
怖いです。
恥ずかしいです。
それなのに――次は何をさせられるんだろう、と考えている自分もいます。
たぶん、それこそが私が「最下層」に合格した理由なのだと思います。
ユキ
今日は、地下アイドルのオーディションを受けてきました。
前の仕事をクビになってから、今度こそ普通にやり直したいと思っていました。
女装デリヘル嬢ではなく、可愛い服を着て、一人の女の子として「可愛い」と思ってもらいたい。
だから「新人地下アイドル募集」を見つけたとき、これなら変われるかもしれないと思ったんです。
白いブラウスに黒いジャンパースカートを着て、鏡の前で、
(今日はちゃんと普通にしよう)
そう思って家を出ました。
でも、普通だったのは最初だけでした。
面接では前職を「接客業」、退職理由を「自主退職」と誤魔化しました。
ところが撮影審査が始まり、黒、白、赤と水着を替えながら質問されていくうちに、少しずつ逃げられなくなっていきました。
女装デリヘル嬢だったこと。
禁止されていた本番行為が原因でクビになったこと。
さらに、童貞で包茎だという、ずっと隠していたコンプレックスまで。
恥ずかしくて仕方なかったです。
それなのに、審査が普通ではないと気づいてからも、私は帰りませんでした。
むしろ自分でも認めたくなかった部分まで見透かされていくことに、怖さとは別のドキドキを感じていました。
最後の赤い水着では、もう最初の私とは違っていました。
過去も、嘘も、恥ずかしい部分も知られた状態で写真を撮られ、それが今後使われるかもしれないと聞かされました。
嫌なら、ここで終わればよかったはずです。
なのに私は、
(本当に使われるのかな)
と少し期待していました。
そして渡された結果は、
地下アイドル――不合格。
でも、もう一枚。
最下層アイドル候補生・裏選考――合格。
普通のアイドルになりたくて来たのに、評価されたのは歌やダンスではなく、恥ずかしがる私、隠し事を暴かれていく私、それでも逃げなかった私でした。
《最下層アイドル候補生 登録誓約・管理規則》
そこに書かれていた私の記録は、
通常選考【不合格】
裏選考【合格】
虚偽申告【有】
登録階級【最下層】
でした。
迷った末、私はそこに「ユキ」と署名しました。
ひまりさんに言われた言葉が、今も頭から離れません。
「これはアイドルになれた証明ではなく、普通のアイドルにはなれなかった人を最下層に登録した証明です」
そして初回課題として、赤い水着を脱ぐことも許されませんでした。
その上から朝と同じ白いブラウスと黒いジャンパースカートを着て帰りました。
鏡に映った私は、朝とほとんど同じでした。
でも服の下には赤い水着。
バッグには「不合格」と「最下層合格」の二枚の通知書。
電車の中では誰にも分からないのに、私はずっとそれを意識していました。
帰宅して、服を脱いでもまだ終わりません。
赤い水着姿の写真を送って、ひまりさんから「解除」と届くまで、そのまま待ちました。
そして最後に届いたのは、
「次回は最初から指定衣装で来てください」
という一文でした。
朝は「今日はちゃんと普通にしよう」と思っていたのに。
普通の地下アイドルには落ちて、
普通よりもっと下には受かってしまいました。
怖いです。
恥ずかしいです。
それなのに――次は何をさせられるんだろう、と考えている自分もいます。
たぶん、それこそが私が「最下層」に合格した理由なのだと思います。
ユキ